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コラム

VOL. 15 パリマの物語 パート1

Vol.15 パリマの物語 パート1
Inspirational Messeges from the Oneness

ワンネスからの贈りもの ~ インスピレーショナル・メッセージ~

昨年の春、4月のある日、リビングルームに座っていると、スピリットのマスターティーチャーの一人が興味深いビジョンを見せてくれました。彼らは日ごろチャネリングやインスピレーションなど、さまざまな形でアドバイスやサポートを与えてくれますが、この一つのエピソードからもさまざまな示唆を受け取ることができます。

 

<パリマの物語 パートⅠ>

老いた師が、ある日大きな石の上に座っていました。目をつむるでもなく、見開くのでもなく、景色を楽しんでいます。そこに生徒の一人、チェンマがやってきて言いました。「師、わたしは今すぐあなたのようになりたいんです。それなのに、あなたは景色を楽しんでいてばかりでもう何日もたっています。わたしは、早くあなたのようになりたいからあなたのもとにきたんです。石の上になんて座ってないで、あなたのようになる方法を教えてください」

マクラウドの滝にて撮影

師は言いました。「わしみたいになりたいのかね。じゃ、ここにきて、座ってごらん」師はおだやかに言いました。チェンマはいらだって言いました。

「師、これはなんのへんてつもないただの石です。それにそのうえに座ったところでいったい何がわかるというのですか?まさかそこが世界の頂上というわけではないでしょう。そこに上るには、履物を脱がなければなりません。それに、どのように上るのか分かりません。はしごがあって、誰かがそのはしごを支えてくれるなら、私だってそこに上ってみようと思うでしょう。だいいち、上ったとしても、そこに何か書いてあるわけではないでしょうし。それともあなたがそこの上でなら教えてくれると約束してくれるとか、何があるのか先に見せてくれるとか、それが価値のあるものだと分かるなら別ですが。景色をみたところで時間の無駄です。われわれにはもっとほかにすべきこと、重要なことがあります」

 

師はのんびりと言いました。「上ってみないと分からんものもあるよ。それに、ここから何が見えるのか、わしが言うより、自分の目でしかと見たほうが百倍よいぞ。こんなにすばらしい景色を、お前にも見てほしいがのう」

 

チェンマは、師が彼の言うことを聞いてくれないのを知ってがっかりし、「はやくあなたの知る奥義を教えてください、待っていますから」といって、みなが暮らす寺院へ戻っていきました。

 

パリマは、新しく彼らのコミュニティに迎えられました。ほどなくして、師がときどきその岩の上へひとり赴いて一日を過ごすのを知って、師がいったい何を見ているのだろうと興味深く思うようになりました。

 

ある日、パリマは師に聞いてみました。「師、わたしはここにきたばかりです。よくあなたがひとりで石の上に座っていると先輩たちが言っているのを聞いて、興味を引かれたのです。先輩たちに、私もそこへ行ってよいもでしょうか、とたずねると、

 

『師は特に禁止していないが、おまえがそこへ行ったところで、何にもならないだろう』といいました。たぶんそうでしょう。ですが、私はただ単純に興味があるのです。行って見てみたいのです。師が何を見ているのだろうと。」

 

師はゆっくりと答えました。

 

「そのとおり、誰も禁止していないのじゃから、来るのも自由じゃ。来なさい」パリマは、師に連れられて、岩のあるところへやってきました。

 

先輩たちの言うとおり、確かに何の変哲もない、飾りもない岩でした。建物があるわけでも、何か特別な布がかかっているわけでもありません。師は、長い時間をかけてできたであろうその岩のくぼみに、手をかけ、足をかけ、ひょいひょいと登って行きました。何の奇術もありません。パリマが気づいたことといえば、老いた師が、年齢の割に鹿のように身軽に動くことくらいです。

 

パリマも、そのくぼみをよく見て、師がするのと同じようにして登って行きました。すると、下から見て想像していたよりも簡単に登ることができました。すでにくぼみができていたうえに、師の登る様子を眺めているとそれがもっとも無駄のない、いちばん登りやすい登り方だということが分かったからです。

 

パリマは、師が見せてくれたように、岩をのぼっていきました。師は、登ってくるパリマを眺めて、いいました。「難しいかね?」パリマは言いました。「いえ、師が登るのをよく見ていましたから、思ったよりも…。それにくぼみがあるので、いっそう簡単です。したから見ると、この岩はとても登りにくそうに思えたのに。」

 

「そうか、そうか。」師の声からは、笑顔のような雰囲気が伝わってきました。パリマが頂上に至ると、師はただ、静かに座っていました。隣に腰をおろすと、師が「よく、見て、何が見えるか。観察してみなさい」と言いました。眼下には、ほかの岩場、山、木々、森、滝の流れ、川、村の集落、採掘場、自分たちが暮らす寺院が見えました。そのような景色が見えるとは想像していなかったパリマは、この眺めに引き込まれるように、じっとしていました。

 

しばらくすると、パリマの心が静かな感動を味わっているのが感じられ、師が言いました。
「何を見つけたかね?」

 

パリマは言いました。「師、私はこれまで、こんなふうに谷を見たことはありません。」師は、続けるよう、促しました。

 

<Uploaded 2010.7.1 『チャネリング・エピソード パリマの物語(2009.4.29)』 REMI>

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