国際スピリチュアリスト教育の専門家 叶礼美です。
スピリチュアリティを勉強したあとなら、イデア論が理解できるようになりますよ。
スピリチュアリティと古代ギリシャの哲学者の考え方には親和性があるんです。
古代ギリシアの哲学者ソクラテスが説いた「霊魂と肉体」
誰もがおそらくその名前を知っている、古代ギリシアの哲学者、ソクラテス(紀元前469年頃 – 紀元前399年)。
西洋哲学の祖とされる人物で、「無知の知」や「問答法」「汝自身を知れ」でよく知られています。
私が2007年、UCCスクール・オブ・スピリチュアリズムの、ミニスター課程(聖職者・講師)で学んでいた時、Dr.ロジャースから出された課題のなかに、「哲学の歴史と、哲学者を選びその人物の生涯についてレポートするように」という課題がありました。
私は、ソクラテス-プラトンを選びました。そしてプラトンがのこした著作を通してソクラテスの生涯に触れるうちに、おおっ!と、驚きを感じたのです。
ソクラテスは、「プシュケー(霊魂)Psyche」という存在を、知と徳の存在する座だとしました。
「プシュケー」とは、もともと息や呼吸を意味し、転じて生命の源、心や魂を意味するようになったもの。
知や徳が魂にある。
ところで、
英語のサイキック-Psychic と精神科のサイキアトリック-Psychiatricという言葉は、このプシュケーPsycheという古代ギリシア語からきています。
ソクラテスは、自身で著作をのこしていないので、弟子であるプラトンが、ソクラテスが語ったとされる形で、著述をのこしています。
ソクラテス―プラトンは、
滅びる宿命の物質的肉体<ソーマ>に属する感覚(五感)を超えた「知」を描き、その「知」を特質として自己を動かす「プシュケー=霊魂」は不滅であるとしています。
ここに、不滅の霊魂と
滅びる宿命の物質的に肉体…
ん?
何か、どこかで
聴いたことがありませんか…?
スピリチュアリティを学ぶ人ならおそらく誰もが触れることになる
霊魂の意識=高次の自己=高自我=ハイアーセルフ
肉体の意識=低次の自己=低自我=ロウアーセルフ
が意味するところと、同じですね。
ソクラテス-プラトンは、
当時の古代ギリシアで中心的であった
「物質的な価値を求める生き方」
に対して、
「善く生きることでプシュケー<魂>を磨く生き方」をせよ、と
「魂をよくする生き方」
を説いたのです。
つまり、物質的な価値のためのみに生きるのでなく、魂を磨き精神的な価値を磨いて生きよ、と言ったのでした。
実際にアテネでも、政治家や弁論家が力を持ち、富を蓄え、身体の美しい者が称賛を浴び、哲学者は生産性がいかにも低いということで、地位はとても低く、場合によっては侮蔑の対象ですらあったようです。
なんだか、古代ギリシアも、現代も、変わりないように思われますね。
ふむ、ふむ。
ともあれ、プラトンは、ソクラテスの説を紹介するという形で「イデア論」を展開しました。
この肉体の牢獄に囚われた世界に対して、イデアという、物理的な肉体に囚われない、本質的な世界があるということ。
この「イデア論」が、スピリチュアリティを理解していると、手に取るようによくわかるのです。ほぼ、同じことを言っていると思えるほどです。
でも、本質的なスピリチュアリティは、物質的世界を否定したり、軽んじるわけではありません。世の中を厭う、厭世主義でもありません。楽しみをもって暮らすことを否定するものでもありません。(このよく語られる2つのジレンマについては、別の号で詳しくお話しますね)
だって、転生するというのは両親となる存在や関わることになる周りの人々とのきずなや計画もあるわけで、そんな簡単なことではないわけです。それだけのエネルギーを注いでいながら、意味なく転生するわけがないのです。
ともあれ、ソクラテス-プラトンのイデア論、非常に面白いのです。スピリチュアリティを勉強してから読むと、彼らの言っていることの意味が、面白いように分かったのです。
スピリチュアリティは、哲学・宗教などが扱う「形而上学」「存在」「生き方」「価値観」に親和性のある分野なので、関係ないわけはないんですね。
興味のある方は是非読んでみてください!
でも、ソクラテスでさえ、もっとも古いスピリチュアリストではないのです。いずれにしても人は、昔から「どう生きるべきか」「何が目的か」と模索、探究してきた、ということ。
そして、インスピレーションや魂の声、不思議な導きなどの現象を通じて、人はなにものかに導かれる経験を積み重ねてきたのだということ。
そして、スピリチュアリティの基本となる考え方、霊魂と肉体。という概念は、古くから存在したのだということ。
そのソクラテスが、しばしば受け取っていたと語る「神的な何かによる合図・魂の声」について
こちら『ソクラテスも聴いていたスピリットガイドの導き「ダイモーン」』でご紹介していますよ。
まだ読んでいらっしゃらなければ、あわせてお読みくださいね。
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